Train Simulation - 列車を走らせよう -

簡単な列車のシミュレート(力行編) 簡単な列車のシミュレート(走行・制動編) 電車性能データベース



 
■ 簡単な列車のシミュレート方法 力行編
   
 

定トルク域
 モーターに電流を流して電車は発車します。しかし、架線からの電圧を直接かけるとモーターが暴れだして大変危険です。動いていないモータは抵抗がほとんど無いために、直接給電すると一瞬とんでもない電流が流れて、数千ボルトで制御する場合はブレーカーが飛んでしまいます。
 そこで、電車は発車するときにある程度の抵抗をはさんで起動します。しかしこのまま電流を流しつづけると、速度は上がらないし抵抗も熱を持ってしまうので、速度が上がってモータ内部に抵抗が生じ、電流が減ってきたら外付けの抵抗を順に減らしていき、電流を維持します。これがモーターの定トルク(定引張力)制御です。電車が加速するときに、一定の間隔でカクカク揺れることがありますが、正体はこれ。この抵抗を減らしていくという作業をノッチの進段といいます。運転台に電流計がある場合、針がふらふらしているのがわかると思います。上限と下限の間に収まるように進段し(この下限が限流値。これを増やすと進段のテンポが上がり、高加速になります)、結果として加速度が一定となっているように見えます。なお、モーターが2個以上ある場合、途中でそれらを直列接続から並列接続にすることで段数を増やし、損失を抑えることができます。この場合、直列で最終段(抵抗がない状態)まで来たら、並列に切り替えて再び抵抗を挿入して進段していきます。
 インバータ制御車の場合、主制御器に抵抗は存在しません。特性より、トルクが一定になるようにインバータ周波数と電圧を上げていきます。
 いずれの場合も、モーターの出力が最大に達するまで同じトルクを保って回転数が上昇していきます。

F = m・a = 列車の全重量[kg]×加速度[m/s2] = 起動時に編成にかかる力[N] = 引張力[kgf] * 9.8

 自動進段が無い場合は、各ノッチをマスコンハンドルで手動操作することになります。この場合は、特性域の項目で説明する、トルクは電流の二乗に比例するという特性がそのまま表れます。電気機関車では、手動進段で発車した後に自動進段に移行するパターンもあります(EF65の場合、最初の4ノッチだけが手動)。
 基本編成での公称加速度がわかる場合はそれを、電動機の定格引張力がわかる場合は全車両ぶんを合計して力を計算します。ただし、定格はあくまで目標値なので、ずれる場合があります(特に誘導電動機を使っていると顕著です。というかデータとして無いのがほとんどかもしれません)

   
 

定出力域
 抵抗がすべて無くなると、架線からモータにそのまま給電されるために出力がピークに達します。達すると、回転数を上げるほど内部抵抗が増え(4)、電流とトルクが減っていき、やがて加速が止まってしまいます。普通の通勤電車で、出力がピークに達するのは40km/h前後です。これではさすがに遅すぎるので、弱め界磁と呼ばれる制御を使います。直流直巻電動機の特性を見ればわかりますが、逆起電力は速度と磁束に比例します。速度は抑えるわけにはいきませんから、界磁に流れる電流を弱めて電機子の磁束を押さえれば、逆起電力が減るのでそのぶん回転数を上げることができます。そのために、界磁に並列して抵抗を接続し、電流を逃がすことでモーター全体に流れる電流を維持したまま界磁の電流を抑えるのです(抵抗を入れる方法のほか、界磁チョッパ制御といってチョッパで界磁を制御するものもあります)図解はこちら

 誘導モーターの場合、定トルク制御中は電圧とインバータ周波数を上昇させていくことで徐々に出力を上げますが、電圧は無限に上げることはできません。そこで、電圧が最高値に達したら、すべり周波数を上げることで電流を維持します(すべり率制御の場合)。これにより、定出力を保って回転だけ上昇させることが可能になります。ただし、出力は最大に達しているので、回転数が上がると引き換えにトルクが落ちていきます。出力=k×速度×加速度の式からもわかりますね。
 抵抗を用いる場合、弱め界磁に入ってからも界磁85%、70%、55%といった具合にノッチの進段が続きます。界磁を連続して変化させられる場合は、常に同じ出力となるように動きますので、グラフを描くと速度とトルクが反比例しているように見えます。
 計算には、編成重量m[kg]とモータの最大出力P[W]が必要になります。出力が最大になる、つまり定トルク域から定出力域に移行する速度は、次の式で求まります。

仕事率 = 力の速度成分×力 = 重量[kg]×速度[m/s]×加速度[m/s2] = 出力[W]

 この式を使えば、起動加速度のまま何km/hまで到達できるかがわかります。
 このとき、最大出力というのに注意してください。カタログ値は大抵一時間定格値で「この出力で一時間連続運転しても安全です」という目安に過ぎません。そのときの最大値は、シミュレーションで求めるしかありません。例えば、209系の定格値は95kWですが、満員で発車するときは電流を余計に流して倍近くの出力を出します。逆に、運転台にかぶりついて、定出力に移行する速度がわかれば、そのときの最大出力が計算できることになります。定出力域に入ったら、あとは速度と加速度の乗算に定数をかけたものが等しくなるようにグラフを描きます。この領域では、電圧と電流が一定になります。

   
   
 

特性域
 界磁を弱めていっても上限があり、これを超えると著しく性能が低下してしまいます。弱めが限界に達したら、あとはモータの特性に任せてトルクが落ちていきます。誘導モーターの場合はすべり周波数の下限に達したら、特性域に入ります。定出力域で加速力は速度に反比例するのに対し、こちらでモーターの特性がそのまま現れ、トルクは速度のほぼ2乗に比例して落ちていきます。


■ 電動機の特性
   
  直流直巻電動機

(1) 電機子電流 = (電機子電圧 - 逆起電力) / 電機子内部抵抗
(2) トルク = 定数 * 磁束 * 電機子電流
(3) 磁束 = 定数 * 電機子電流(磁束は飽和すると一定値になります)

(4) 逆起電力 = 定数 * 磁束 * 回転数
(5) 回転数 = 電機子電圧 / (定数 * 磁束)

この方程式を解くと、トルク = 定数 * 電機子電流 * 電機子電流となります。

   
  誘導電動機

(1) 電流 = 定数 * 磁束 * すべり周波数
(2) 磁束 = 定数 * (電圧 / インバータ周波数)
(3) トルク = 定数 * 磁束 * 電流

これより、トルク = 定数 * (電圧 / インバータ周波数)^2 * すべり周波数となります。特性域では、すべり周波数と電圧は一定なので、速度に比例して上がっていくインバータ周波数の2乗に比例してトルクは減少します。


■ 加速曲線
   
直流電動機
誘導電動機





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